想を練って見ることにします。そして成功は必ずしも覚束《おぼつか》ないとは思いません。』
以上の議論がつづいている間に、その中の一言も分らない子供達は、すっかりねむくなってしまって、もう、寝床へ追いやられた。彼等がねむそうな声でしゃべりながら、階段を上って行くのが聞えた。一方、タングルウッドの木々《きぎ》の梢に北西風が高く鳴って、家のまわりに喜びの歌をかなでていた。ユースタス・ブライトは、書斎へ帰って、再び何か詩を作ろうと頭をひねったが、一句書いて、次の詩句を考えているうちに眠ってしまった。
[#改丁]
丘の中腹
――「不思議の壺」の話の前に――
さて次に、われわれは例の子供達を、いつ、どこで見かけると読者は思われるか? もうその時は、冬ではなく、楽しい五月になっていた。場所も、もはやタングルウッドの遊戯室や、いろりばたでなく、或る大きな丘の五合目よりまだ少し登った辺だった。この丘はおそらく、山と云ってやった方が一層よろこぶかも知れないほどの大きさだった。彼等はこの高い丘を、その禿げた天辺《てっぺん》まで登ろうという、大した意気込みで家を出たのであった。尤も、それはエクアドルのチンボラアゾウとか、アルプスのモン・ブランほど高くもないし、またこの地方第一といわれる、わがグレイロック山にくらべても、まだずうっと低いものだった。しかし、とにかく、千の蟻塚よりも、百万の土竜丘《もぐらづか》よりも高く、小さい子供達の短い股で計れば、大変高い山ということになるであろう。
そして、従兄ユースタスはみんなと一しょだったか? それは確かだと思ってもらっていい。でなければ、どうしてこの本が、一歩だって先にすすむことが出来よう? 彼は今、春休みの中程だった。そして、四五ヶ月前に見た時とほとんど同じだったが、ただ彼の上唇をよく見ると、とてもおかしな口髭がちょっぴりと目につく点だけが違っていた。大人になったという、このしるしを別にすると、彼は読者と初めてお馴染《なじみ》になった時と少しも変らない少年だった。彼は今までと同じように、快活で、元気で、上機嫌で、足も心も軽く、そして小さな子供達に好かれていた。この山登りも、全く彼の考え出したことだった。急な道をのぼりながら、ずっと彼は、元気な声で大きな子供達をはげまして来た。そして、ダンデライアンやカウスリップやスク
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