から滑り降りることにも飽きて来た時、ユースタスは子供達に、その辺の一番大きな吹溜《ふきだまり》に穴を掘らせた。ちょうど穴が出来上って、みんながその中にぎゅうぎゅう詰めになった時、運悪く、屋根が彼等の頭の上に落ちて来て、一人残らず生埋めになってしまった! すぐにみんなは、崩《くず》れた穴の中から、小さな頭をにょきにょきと出したが、そのまん中の、背の高いユースタスの頭は、鳶色の巻毛の中に粉雪がくっついて、白髪のおじいさんのようだった。それから、こんな、すぐに崩れてしまうような穴を掘れなどといったユースタスにいさんをやっつけてしまえというので、子供達は一団となって彼におそいかかって、めちゃくちゃに雪を投げつけたので、彼は逃げ出したくなってしまった。
 そこで彼は逃げ出して、森の中へはいって行った。それからシャドウの谷川の縁へ出た。そこでは、彼は、昼間の光もほとんど射《さ》し込まないくらいに、おびただしい両岸の氷雪が蔽いかぶさったようになった下を、谷川がつぶやくように流れて行く音を聞くことが出来た。小さな滝のようになったところは、どこでも、ダイヤモンドのような氷柱が、そのまわりにきらきらと光っていた。それから、ぶらぶらと湖の岸へ来て見ると、彼の足もとからモニュメント山の麓まで、真白の、足跡一つない雪原が見渡された。そして、今はもう日没に近かったので、ユースタスはそこの景色ほど清らかな、美しいものを見たことがないと思った。彼は子供達と一しょでなかったことを喜んだ。というのは、彼等のはち切れるような元気と、ころげまわらずにはいないような活動欲とは、彼の高尚な、深い気分をすっかり追払ってしまったであろうから。そうなったら、彼は(今日も一日中そうだったように)ただ愉快になれるというだけのもので、山間地方の冬の日没の美しさを味うことは出来なかったであろう。
 陽もすっかり沈んだ時、われらの友ユースタスは、夕食をするために家へ帰って来た。食事がすんでから、彼は書斎に引取ったが、私の想像では、彼が沈む夕日のまわりに見た、紫や金色の雲をほめたたえるために、一篇の抒情詩か、二三の小曲か、そのほかどんな形式にせよ、とにかく詩を作るつもりであったのだと思う。しかし、彼が最初の詩句もまとめ上げないうちに、扉があいて、プリムロウズとペリウィンクルとが現れた。
『君達、むこうへ行ってらっしゃい! 僕は
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