いっても幾センチ位だったかというような、こまかい質問をいつもするのだった。『メアリゴウルドはどれ位の大きさだったの、そして金になってからはどれ位の重さだったの?』
『彼女は大体君くらいの高さだったんだ、』とユースタスは答えた、『そして、金は大変重いから、少なくとも二千ポンド位はかかったね。金貨にすれば、三、四万|弗《ドル》も取れたでしょう。僕はプリムロウズが、その半分の値打もあればいいと思うなあ。さあ、みんな、この谿から上って、その辺を見ようじゃないか。』
 彼等はそうした。太陽は正午の位置から、一、二時間廻っていたので、西陽のかがやきが谷の大きな窪みに一杯になって、なごやかな光がそこに満ちあふれて、まるで鉢になみなみと注《つ》いだ金色の酒のように、まわりの丘の間からこぼれて行きそうだった。昨日もちょうどこんなだったし、明日もまたちょうどこんなだろうに、思わず、『こんないい日は今迄になかったなあ!』と言わずにはいられなくなるような日だった。ああ、しかし一年を通じて、こんな日はそうざらにあるものではない! こうした十月の日は、その日その日が大変長いような気がするのが、その著しい特長である。ところが、この季節には、太陽はどちらかというと、ぐずぐずとおそく上って、そのくせ行儀よく六時か、或はもっと早く、ちょうど小さな子供達がしなければならないように、さっさと西の山に眠ってしまうのである。だから、われわれはその頃の日が長いなんて言えないのだ。しかし、どういうものか、その短さも、そのたっぷりした幅の広い感じで補われるのである。そしてひいやりとした夜になると、両腕で抱え切れないほど、今朝から人生を楽しんだという気がするのである。
『さあ、さあ、みんな!』とユースタス・ブライトは叫んだ。『もっと、もっと、もっと胡桃《くるみ》を拾って! 君達の籃《かご》一杯にするんだよ。そしたら、クリスマス時分には、僕がみんなにそれを割って上げて、いろいろいい話を聞かして上げるからね!』
 こうして彼等は帰って行った。彼等はみんな大変な元気だったが、ただ一人小さなダンデライアンは、可哀そうに、栗のいがの上に坐っていたので、その刺《とげ》が針山にささったように彼にささっていた。まあ、彼はどんなに痛かったことだろう!
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     タングルウッドの遊戯室
       ――「子供の楽園」の話
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