なものを持っていて、その人の手にかかったら、どんなものでも退屈で、面白くなくなるってこともあるわねえ。』
『まだ年も行かないのに、君はなかなか辛辣《しんらつ》だね、プリムロウズ、』と、ユースタスは彼女の批判のきびしさに驚いて言った。『でも、いくら意地悪の君だって、僕がマイダスの古い金をすっかり新しく磨き上げて、それを今までになく光らせたということは、十分わかるだろう。それから、メアリゴウルドの像なんかはどうだい! その辺がなかなかのお手際だとは思わない? そして、この話に含まれた教訓も、僕は大変うまく出して、それをまた深めたと思っているんだが。スウィート・ファーンやダンデライアンやクロウヴァやペリウィンクルの意見はどう? この話を聞いても、君達のうちには、何でも金にする力がほしいなんていうような馬鹿がいるかしら?』
『あたし、右の人さし指で何でも金にする力があって、』と十歳《とお》になる女の子のペリウィンクルが言い出した、『その代り、金にしたものが気に入らなかったら、左の人さし指で、もと通りにすることが出来るといいと思うわ。そしたら、今日のお昼からでも、早速やって見たいことがあるんだけど!』
『どんなことか聞き度《た》いもんだね、』とユースタスは言った。
『だって、』とペリウィンクルは答えた、『あたし左の人さし指で、この辺の金色になった木の葉をみんなさわって、すっかりもとの緑にして見たいんですもの。そしたら、いやな冬なんかその間になくて、すぐまた夏になるでしょ。』
『おう、ペリウィンクル!』ユースタス・ブライトは叫んだ、『そりゃ君間違っているよ、そしていろいろ困ったことが出来るよ。僕がもしマイダスだったら、今日のような金色の秋の日を幾度でも繰り返して、一年中つづくようにするほかは、なんにもしたくないね。僕のいい考えは、いつもあとになって浮かぶんでね。僕はどうして、マイダス王が年取ってからアメリカへ来て見て、ほかの国に見るような陰気な秋を、この辺のような輝くばかりの美しい姿に変えたということにしなかったんだろう? つまり彼が自然という大きな書物の頁《ページ》を金色に塗り上げたという風にね。』
『ユースタスにいさん、』とスウィート・ファーンが言った。彼は可愛い小さな男の子で、巨人《ヂャイアント》の身の丈《たけ》は正確にいうといくらあったかとか、妖精《フェアリ》が小さいと
前へ
次へ
全154ページ中55ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ホーソーン ナサニエル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング