とうとう据えつけてもらうことが出来たことを知って、しみじみと嬉しい気がして、そのまま先《さき》を読むのを止《や》めてしまった。そして、手紙を持っている右の手は、静かに静かに膝の上へ垂れて行った。一方、彼女はその左の手を、胸をひき裂くかと思われる、頑強な咳を鎮めようとして、口脣《くち》のところへ持ってゆくのだった。
底本:「モオパッサン短篇集 初雪 他九篇」改造文庫、改造社出版
1937(昭和12)年10月15日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「或る→ある (て・で)置→お 却って→かえって 兼ね→かね 呉れ→くれ 此の→この 直き→じき (て)了→しま 凡て→すべて 其→その 度→たび 何う→どう 筈→はず (て)見→み (て)貰→もら 矢ッ張り→やッぱり 訳→わけ」
※読みにくい漢字には適宜、底本にはないルビを付しました。
※底本中、混在している「廻」と「※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]」はそのままにしました。
入力:京都大学電子テクスト研究会入力班(山本貴之)
校正:京都大学電子テクスト研究会校正班(大久保ゆう)
2005年6月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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