のまわりには誰ひとりいない!
 私の拳銃はそこに、テーブルの上にのっている、――私はその引金をおこした、――諸君は断じて旧い手紙を読んではいけない!


 世間の人は大きな苦悶や悲歎を探し出そうとして、自殺者の生涯をいたずらに穿鑿《せんさく》する。だが、多くの人が自殺をするのは、以上の手記にあるようなことに因るのであろう。



底本:「モオパッサン短篇集 色ざんげ 他十篇」改造文庫、改造社出版
   1937(昭和12)年5月20日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
その際、以下の置き換えをおこないました。
「凡ゆる→あらゆる 或る→ある 或は→あるいは 何時→いつ 一層→いっそう 恐らく→おそらく 却って→かえって 可なり→かなり 此の→この 然る→しかる (て)了→しま 直ぐ→すぐ 凡て→すべて 丈→だけ 慥かに→たしかに 偶々→たまたま 丁と→ちゃんと 屡々→ちょいちょい 何う→どう 程→ほど 殆ど→ほとんど 復た→また (て)見て→みて 最う→もう 若しも→もしも 矢張り→やはり」
※読みにくい漢
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