画の大部分は彼の頭の産み出したものであり、自分はただ局部的に意見を与えたに過ぎないのだ。我々は何人かの鉄道勤務員の買収もした。その中での親玉は例のジェームス・マックファースンである。我々の眼は、九分九厘までこの男が、カラタール氏によって請求されるであろう、別仕立列車の車掌に択《えら》ばれるに相違ないことを見抜いていたのだ。それから機関手のジョン・スレーター、この男にも当ってみたけれど、しかしなかなか骨ッぽい、警戒すべき奴だということを発見した。止むを得ず買収は中止した。我々は、カラタール氏が確かに臨時列車を仕立てさせるに相違ないとまでは信じてなかった、けれどもそれは十中八九まで起り得べきことだと考えたのだ。緊急な重大事をひかえて、一刻も猶予することなく巴里《パリー》へはいりたがっていることを知っているので。
『我々は、カラタール氏がリヴァプールに上陸した時、彼が、危険を予知して、身辺近く護衛者を伴なって来たことをすぐさま知った。護衛者、しかもそれはゴメズというはなはだ危険な奴である。常に兇器を携えいざといえば、それを振廻す男である。ゴメズはまた、カラタール氏の証書類を携える役目を自身で
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