私にも大変都合がいいんですから。――実は、私はここに数千ドル何かに投資したいと思ってるお金があるんです。そこで私はそれをあなたにかけてみたいと思ってるわけなんです」
「しかしそれはどう云うわけでそうお思いになったのですか?」
私は咽喉のつまったような声で云った。
「理由ですか?――それはつまり他のものの投機をやるのと同じような理窟からです。でもその中でこれは一番安全ですからね」
「で、もしそうして下さるとしたら、私はどう云うことをしたらよいのでしょう?」
「それをお話ししましょう。――私は家を建てて、それをすっかり飾りつけて、召使いたちの給料を払って、ほうぼうへ宣伝をする、――それは私がやります。――ですからあなたはただ診察室にすわっていさえしたらいいのです。――おお小使いやその外《ほか》身の廻りのものは私がみんな心配してあげます。その代り、あなたが稼いだ四分の三を私に下さい。そしてその残りはあなたの収入と云うことに……」
ホームズさん、これが、ブレシントンが私の所へ持って来た、奇妙な申込みの条件だったのです。それから私は、彼とどんな風に取引し、どんな風に約束したかは、くどくどと申
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