いと思っているのですが、無論なんですよ、人間は最初に初めた事をやり通すべきなんですがね。――しかし、こんなことをしゃべっている時じゃありませんね、シャーロック・ホームズさん。――実はこうなんです。最近、私のブルック街の家に、実に奇妙な事件が持ち上ってるんです。で、今夜はとうとう、明日《みょうにち》まで待つことが出来ずに、あなたのお力を拝借にやって来たわけなんです」
シャーロック・ホームズは腰をおろして、パイプに火をつけた。
「本当によくいらしって下さいました」
彼は云った。
「どうか、あなたをなやましていると云うその事件を、こまかく詳しくお話しになって下さいませんか」
「その一つ二つは実際つまらない事なんです」
トレベリアン医師は云った。
「実際それをお話するのはお恥ずかしいくらいなんです。しかし事件は実に合点がいかないばかりか、最近、あなたがたにお話ししなければならなくなったほど、こみ入って来たのです。――どうか、私がお話する所から、肝要な箇所とそうでない箇所とを御判断なすって下さい。
最初に、どうしても順序として、私の学生時代のことからお話しなければなりません。御承知のよう
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