めに、南アフリカから来たのだろう、ね? ウィリアムソン君、ね、カラザース君、ウードレー君、――」
「いや、その第一番目のは嘘だ。」
老年の男は云った。
「私は二ヶ月前までは、この二人を全く知らなかったし、また私は生れてからまだ、南アフリカなんて云うところには、行ったこともありませんよ。おせっかい屋のホームズさん、篤《とく》とお考えなさって、冗談も休み休み仰有って下さい」
「彼の云うことは本当です」
カラザースは云った。
「よろしい、よろしい。君たち二人が海を越えて来たんだね。それなる御尊師は、内地製だったんだ。それで君等は南アフリカで、ラルフ・スミスを知った。そして彼はもう長くは生きないと云う見極めもついていた。そして彼の姪がその財産を相続することになると云うことも気がついた。どうだね? それでいいかね?」
カラザースは点頭《うな》ずき、ウィリアムソンも肯定した。
「彼の女はもちろん最も近い血縁の者であるが、君たちは、その老人は遺言状を作るまいと考えたろう」
「彼は読むも書くも出来なかったのです」
カラザースは云った。
「そこで君たちは二人で帰国して、その女を狩り出したのだ。し
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