かわかるでしょう。――さあ、ついて来て下さい。私達はじきに、総てのことを解決してやるんだ」
 私達は入口に近寄って行った。と、その時不意に、一人の女がうちの中から現らわれて、ランプの黄金色《こがねいろ》の光を背にして立った。その女の顔は暗くて見えなかったけれど、何か哀願するらしく、両手でおがんでいるのが分かった。
「どうか、お願いですから止めて下さい。ジャック」
 と、彼女は叫んだ。
「あなたがきょうの夕方ここへいらっしゃることを、私ちゃんと知っていたの。――ね、ようく考えてちょうだい。もう一度私の云うことを信じて、あとで悲しまなければならないような原因を作らないでちょうだい」
「俺はお前を信じすぎていた、エフィ」
 彼は厳然として叫んだ。
「あっちへ行ってくれ! 君にかまっちゃあいられないんだ。私達はこの事件を一思いに解決してしまうのだ」
 彼は彼女を片方におしやった。そして私達はすぐ彼につづいた。彼が扉《ドア》をひきあけると中年の婦人が、彼の前に飛び出して来て、通り道をふさごうとした。しかし彼は彼女を後《うしろ》へおしやった。そしてたちまち私達は二階に、かけ上《あが》った。グラント
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