ますよ。――すぐ出かけた方がいいでしょう。もちろん、法律的に云ったら人のうちへ無断で入ると云うことはよくない事です。しかし、やったっていいと思います」
真暗《まっくら》な晩だった。そして広い道から狭い道へ曲った頃から雨が降り始めた。その狭い道には、轍《わだち》の跡が幾本も入り乱れて、深くついていた。けれども、グラント・マンロー氏は、もどかしそうに、ぐんぐん歩いて行った。そして私たちも、出来るだけ早く彼の後《あと》に従った。
「あそこに、私のうちの灯りが見えます」
と彼は木の間に、ちらちらしている光りを指して云った。
「それから私たちが、目指している離れ家はこれです」
彼はそう云いながら、細い道を一つ曲ると、私達のすぐ側に建物があらわれた。真暗《まっくら》な前庭《ぜんてい》を横切って、黄色いすじが、なげられていて、入口の扉がしっかりしめられていない事を物語っていた。そして二階の一つの窓には、あかあかと灯りがついていた。私達が見上げた時、私達は一つの黒い影が、そこを横切ったのを見た。
「あそこに、例の奴がいるんです」
と、グラント・マンローが叫んだ。
「あなたもあそこに、誰がいるの
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