で下して甲板へばたばた落した。が大檣帆《メーンスル》の方はそれよりは厄介だった。もちろん、スクーナー船が傾いた時に、帆の下桁が舷外へぐらりと※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]って、帆桁帽と一二フィートの帆布とが水の中へ入ってさえいた。このためになおさら危険だと私は思った。それでも、非常に強く張りつめているので手を出すのが恐しいような気もした。とうとう、私はナイフを取り出して揚索を切った。すると斜桁上外端《ピーク》が直ちにばったりと落ちて、弛んだ帆布の大きな腹部が水の上に拡がって浮いた。そして、どうひっぱってみても下索《さげなわ》は動かすことが出来なかったので」私に出来たのはそれだけだった。それ以上のことでは、ヒスパニオーラ号は、私自身と同様、運に頼るより他はなかった。
 この時分には碇泊所全体はすっかり影になってしまっていたが、――落陽の最後の光線が、森の隙間から射して来て、あの破船を覆うている花に、宝石のようにきらきらと輝いたのを、私は今も忘れられない。もう寒くなりかけて来た。潮は急速に外海の方へ流れて行っていて、スクーナー船はますます傾いて船梁が垂直になるほどになった。
 
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