北浦へ入って行って、あすこで船をそうっと浜に乗り上げるつもりなんだ。」
「なるほど、そりゃそうだろ。」と彼は叫んだ。「なあに、己だってそんなにひでえ阿呆でもねえ、つまりはな。わかってるよ。わからねえものかい? 己は自分の賽を投げてみてだ、負けたんさ。そして勝ってるのはお前なんだ。北浦だと? まあ、仕方がねえや。ねえとも! お前の手伝いをしてこの船を仕置渡止場まででも※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]してやろうよ、畜生! してやるとも。」
さて、この言葉には幾分条埋の通ったところがあるように、私には思われた。それで、私たちは即座に相談を纏めた。三分もたつうちに、私はヒスパニオーラ号を追風で易々と宝島の岸に沿うて走らせていて、心の中には、正午前に北の岬を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]って、さらに高潮になる前に北浦まで間切っ(註七二)て行き、高潮になった時に船を安全に浜に乗り上げて、潮が退《ひ》いて上陸出来るようになるまで待とう、という楽しい希望を抱いていた。
それから私は舵柄を括りつけて、下へ降り、自分の衣類箱のところへ行って、母に貰った柔かい絹のハンケチを取って来
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