うに思われた。速力はその間に異様に増していた。
 私は直ちに眼を開《あ》けた。周り中には一面に漣があり、鋭いざあざあいう音を立てて泡立ち、微かに燐光を発していた。私の舟は依然としてヒスパニオーラ号の船跡《ふなあと》の数ヤードのところをぐるぐる※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]っていたが、そのヒスパニオーラ号までも針路がよろよろしているようであったし、その円材が夜の闇の中で少し揺れ動いているのが見えた。いや、もっと見つめていると、その船もやはり南の方へ方向を転じているのが確かにわかった。
 私は肩越しに振り返って見た。すると心臓がどきんとして肋骨にぶつかったような気がした。自分の真後《まうしろ》に、野営の焚火の光があったのである。潮流は直角に曲っていて、それと共に高いスクーナー船と小さな踊っているような革舟とをぐるりと押し流して来たのだ。だんだん速くなり、だんだん烈しく泡立ち、だんだん高い音を立てながら、潮は瀬戸を通って外海へとぐるぐる※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]りながら進んでゆく。
 突然、私の前にあるスクーナー船は激しく針路を逸して、多分二十度も曲った。するとほ
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