時間がかかった。そのごつごつした岩の面に私が手をかけた時には、ほとんど夜になっていた。岩のすぐ下手に、緑の芝地のごく小さな凹地《くぼち》があって、それが、土手と、その辺にすこぶるたくさん生えている膝くらいまでの高さのこんもりした下生《したばえ》とで隠されていた。そして、この凹《へこ》みの真中に、果して、山羊の皮で作った小さなテントがあった。ちょうどイギリスでジプシー人が持ち※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]っているようなテントだった。
 凹地の中へ降りて、そのテントの端を上げてみると、ベン・ガンのボートがあった。――まさしく紛れもない手製のものだった。強靱な木を不器用な一方に偏った枠組にして、それに、毛の方を内側にした山羊の皮を張ったものである。これは私にさえ極めて小さいので、大きな大人を乗せて浮ぶことが出来ようとは私にはほとんど想像出来ないくらいであった。出来るだけ低く取附けた腰掛梁《こしかけばり》が一つと、舳《へさき》に足架《あしかけ》のようなものと、推進用の両櫂《ダブル・パッドル》(註六七)が一本とあった。
 私はその当時は古代のブリトン人が造ったような革舟《コラクル》(
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