。
「停れ!」と船長は反響のように速く叫んだ。
そして船長とレッドルースとは舟の艫《とも》がそっくり水の中へ入ったくらいに力を入れてぐっと逆漕《バック》した。その刹那《せつな》、砲声が轟然と起った。これがジムの聞いた第一の砲声であったのだ。大地主の射撃の音は彼のところでは聞えなかったのだから。その弾丸がどこを通ったかは、吾々の中の一人も正確にはわからなかった。が、それはきっと吾々の頭上を飛んで行ったのであって、吾々の災難はその煽り風のせいもあったかも知れない、と私は思う。
ともかく、ボートは、三フィートの水の中へ、ごく静かに艫の方から沈んで行って、船長と私とは向い合いながら突っ立った。他の三人は真逆さまに落ちて、ずぶ濡れになりぶくぶくと泡を立てながら起き上って来た。
ここまでは大した損害はなかった。一人も命は落さなかったし、吾々は無事に岸まで徒渉することが出来た。しかし、吾々の荷物はみんな水の底に沈み、その上困ったことには、五挺の鉄砲の中の二挺しか役に立たなくなったのであった。私のは、私は一種の本能で膝から素早くひっ掴んで頭の上に差し上げた。船長の方は、弾薬帯で肩に背負っていて、
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