の上の球《たま》ころがしだ! だれがやったってやり損ねるはずがありゃしません。大地主さん、火縄が見えたら言って下さい。オールで舟を停めますから。」
この間にも、舟はそのような積み込み過ぎたボートとしてはかなり速く前進していたし、進んでゆく間に水もほとんどかぶらなかった。もう岸に迫っていて、三四十本も漕げば浜に乗り上げたろう。というのは、退潮《ひきしお》のために、簇生している樹々の下に、狭い砂地が帯のようにすでに現れていたからである。快艇はもはや恐れるには及ばなかった。例の小さな岬のためにそれはもう吾々のところからは見えなくなっていた。あれほどひどく吾々を手間取らせた退潮は、今度はその償いをして、吾々の攻手《せめて》を手間取らせていた。ただ一つの危険は大砲だった。
「出来さえすれぁ、停って、もう一人狙い撃ちしてやりたいんだがな。」と船長が言った。
しかし、彼等がどんなことがあろうと発砲を遅らせないでおくつもりでいることは明かであった。さっきの倒れた男が死んではいなくて、這って行こうとしているのが私にも見えたのに、彼等はその仲間の方を見ようとさえしなかった。
「用意!」と大地主が叫んだ
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