裃のつくり」、第3水準1−85−66]杖もなくとも、猿のように敏捷で、次の瞬間にはトムの上に跨って、その抵抗も出来ない体《からだ》に二度もナイフを柄《つか》のところまで突き刺したのだ。彼がそうして突き刺している時に息を切らしてはあはあいっているのが、私の隠れている場所からも聞えた。
私は気が遠くなるということはほんとうはどんなことであるか知らないが、それからしばらくの間は見えるものことごとくが自分の前から渦巻く靄《もや》の中をぐるぐる※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]って行ったことは知っている。シルヴァーも、鳥も、高い遠眼鏡山の山頂も、私の眼の前で倒になってくるくるくるくると※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]って行き、耳の中では、あらゆる種類の鐘が鳴り響き、遠くの声がわあっと叫ぶのが聞えた。 私が再び正気に返った時には、かの極悪人は気を落着けていて、※[#「木+裃のつくり」、第3水準1−85−66]杖を腕の下にし、帽子をかぶっていた。そのすぐ前には、トムが芝生の上にじっと動かずに横っていた。けれどもその殺人者は彼のことを少しも気にかけないで、その間血塗れのナイフを一把
前へ
次へ
全412ページ中159ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング