うとでもするように走り出てきた。
「なんだ、どうしたのだ? みんなこんなところにいるのか?」と弁護士は気むずかしく言った。「大そう不しだらで、大そう不体裁だ。御主人が見られたら機嫌を悪くなさるぞ。」
「みんな怖がっているのでして、」とプールが言った。
 黙ってひっそりしてしまい、誰一人としていいわけする者もなかった。ただ例の女中だけが声を高くして、今では大きな声を出して泣き出した。
「静かにするんだ!」とプールが彼女に言ったが、その口調の烈しさは彼自身の神経も乱れていることを示していた。そして実際、その娘が急に泣き声を張りあげた時には、皆ぎょっとして、恐ろしいものでも待っているような顔つきで奥のドアの方を振り向いたのだった。「さあ、」と召使頭は言葉を続けて、ナイフ研ぎボーイに言った。「蝋燭を一本渡してくれ。わたしたちはすぐに片づけてしまおう。」それから彼はアッタスン氏について来るように頼み、裏庭の方へ案内した。
「さて、旦那さま、」と彼が言った。「なるべくお静かにお出で下さいまし。あなたさまに先方の言うことを聞いて頂きたいのでして、先方には、あなたさまのおられることを聞かれたくはないの
前へ 次へ
全152ページ中71ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
スティーブンソン ロバート・ルイス の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング