の奇妙な仲間たちのこと、これまでずっと周囲から憎悪の眼で見られていたこと、などについていろんな噂が出てきた。しかし、彼の現在の居どころについては、ささやき一つ聞こえなかった。あの殺害の朝ソホーの家を立ち去った時から、彼は全く姿を消してしまった。そして、時がたつにつれて、だんだんにアッタスン氏はあの烈しい驚きから回復し始め、前よりは心がおちついてきた。ダンヴァーズ卿の死は、彼の考え方によれば、ハイド氏の失踪によって十分に償われたのであった。あの悪い影響を及ぼす人間がいなくなったので、ジーキル博士には新しい生活が始った。彼は孤独の生活から出て、再び友人たちと交際をするようになり、もう一度彼らの心やすい客人ともなり招待者ともなった。そして、彼は今まではずっと慈善行為で知られていたが、今では宗教心でもそれに劣らず有名になった。彼は忙しく活動し、多く戸外に出て、善行をつんだ。彼の顔は、社会に奉仕をしていることを内心意識しているかのように、明るく晴れやかになったように見えた。そして二カ月以上の間、博士は平和であった。
一月の八日、アッタスンは博士の家へ、数人の客と共に晩餐に招かれた。ラニョンもそ
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