うち明けないとは限らないのであった。ゲストはたびたび用事で博士のところへ行ったことがあるし、プールをも知っていた。彼はハイド氏があの家と心やすくしていることを聞いていないはずはあるまい。彼なら結論をひき出せるかも知れない。とすれば、あの不可解な謎をとく手紙を彼に見せてもよくはないだろうか? それに、ことに、ゲストは手跡の熱心な研究家だし鑑定家だから、手紙を見せられても、それを当然な親切なことと考えるだろうから。その上、その事務員は助言をすることのできる男で、ああいう奇妙な書面を読んでなんとか意見をもらさぬことはないだろう。そうすればその意見によってアッタスン氏は今後の方針をきめられるかも知れない。
「ダンヴァーズ卿のはお気の毒な事件だね、」と彼は言った。
「全くさようでございます。ずいぶん世間の同情をひいております、」とゲストと[#「ゲストと」はママ]答えた。「犯人はもちろん気違いでございましょうね。」
「そのことについて君の意見を聞きたいのだがね、」とアッタスンが答えた。「僕はここにその犯人の書いた書面を持っているのだ。これはここだけの話だよ。僕はそれをどうしたらいいかよくわからない
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