言って奇形なところはないが不具という印象を与えるし、不愉快な笑い方をするし、弁護士に対して臆病と大胆との混った一種凶悪な態度で振舞ったし、しゃがれた、囁くような、幾らかとぎれとぎれな声でものを言った。――これらすべての点は彼にとって不利であったが、しかし、これらをみんな一緒にしても、アッタスン氏がハイド氏に抱いた、これまで経験したことのない憎悪、嫌厭、恐怖を説明することができなかった。「ほかにまだ何かあるに違いない、」と、この困惑した紳士は言った。「何と言ってよいかわからんが、何かそれ以上のものが確かにある[#「ある」に傍点]のだ。ほんとに、あの男はどうも人間らしくないようだな! 何か穴居人のようなところがあると言おうか? それとも、あの昔話のフェル博士の*ようなものだろうか? それともまた、忌わしい霊魂から出る光が、あのように肉体から泌み出て、その肉体の形を変えたものなのだろうか? どうもそうらしいようだ。なぜなら、ああ気の毒なハリー・ジーキル、もしわたしがこれまで人間の顔に悪魔の相を見たことがあるとすれば、それは君の新しい友人のあの顔だ!」
その横町の角を曲ると、古風な立派な家の
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