、一種の絶望的な諦めをもってきた。そして、この懲罰は、いま私に振りかかっている最後の災難がなかったならば、まだまだ何年も続いたことであろう。ところが、その災難は私自身の顔や性質を私から永久に切りはなしてしまったのである。私の塩剤の貯えは、はじめの実験以来一度も新しく買い入れたことがなかったが、それがだんだんと少なくなってきた。私は新しいのを取りよせ、薬を調合した。すると沸騰がおこって、第一回の変色はあったが、二回目の変色がおこらなかった。私はそれを飲んだが、それは効きめがなかった。私がどんなにロンドンじゅうをさがし回らせたか、君はプールから聞けばわかるであろう。それも無駄であった。それで、私は、自分の最初に手に入れたのが不純であって、あの薬に効験を与えたのは、その未知の不純性であったのだと、今では確信している。
それからざっと一週間たった。そして私はいま、あの前の散薬の最後の分の効力によってこの陳述書を書き終ろうとしているのである。だから、ヘンリー・ジーキルが自分自身の考えを考え自分自身の顔(今はなんとひどく変ったことであろう!)を鏡の中に見ることができるのは、奇跡でも起こらないかぎり、これが最後である。それに、この手記を書き終えるのにあまり永く手間どってはならないのだ。なぜなら、この手記がこれまで破られなかったとすれば、それは非常な用心と非常な幸運とが結合したためであった。これを書いている最中に変身の苦しみが私をおそうようなことがあれば、ハイドはこれをずたずたに引き裂いてしまうだろう。しかし、もし私がこれを片づけてしまってから幾らか時間がたっていたなら、彼の驚くべき利己主義と刹那主義とは、多分、その猿のような悪意のいたずらから、今一度これを救うであろう。それに、実際、我々二人に迫っている最後の運命は、とっくに彼を変え、彼をおし潰してしまった。今から半時間もたてば、私は再び、そして永久に、あの憎み嫌われる人間に変っているであろうが、そのときには、私が椅子に腰かけてどんなに震えて泣いているか、または、どんなに耳をすまして極度に張りつめた恐怖のために無我夢中になって、この室(この世での私の最後の避難所)をあちこちと歩きながら、自分を脅かすすべての物音に聴き耳を立てているかということを、私は知っているのだ。ハイドは処刑台上で死ぬだろうか? それとも最後の瞬間になって逃れ
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