ろ》へ、路《みち》が変《かは》つて、旅人《たびびと》も通《とほ》らぬけえに、根《ね》つから家業《かげふ》に成《な》らんでの、私《わし》ら、木挽《こびき》木樵《きこり》も遣《や》る。温泉場《をんせんば》に普請《ふしん》でも有《あ》る時《とき》には、下手《へた》な大工《だいく》の真似《まね》もする。閑《ひま》な日《ひ》には鰌《どぜう》を掬《しやく》つて暮《くら》すだが、祖父殿《おんぢいどん》は、繁昌《はんじやう》での、藩主様《とのさま》さ奥御殿《おくごてん》の、お雛様《ひなさま》も拵《こさ》へさしたと……
其《そ》の祖父殿《おんぢいどん》はの、山伏《やまぶし》の姿《すがた》した旅《たび》の修業者《しゆげふじや》が、道陸神《だうろくじん》の傍《そば》に病倒《やみたふ》れたのを世話《せわ》して、死水《しにみづ》を取《と》らしつけ……其《そ》の修業者《しゆげふじや》に習《なら》つた言《い》ひます。
轆轤首《ろくろくび》さ、引窓《ひきまど》から刎《は》ねて出《で》る、見越入道《みこしにふだう》がくわつと目《め》を開《あ》く、姉様《あねさま》の顔《かほ》は莞爾《につこり》笑《わら》ふだ、――切支
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