あ》げて向《むか》ふへ飛《と》んだ。
(お客様《きやくさま》が被在《ゐらつ》しやるではないかね、人《ひと》の足《あし》になんか搦《から》まつて贅沢《ぜいたく》ぢやあないか、お前達《まへだち》は虫《むし》を吸《す》つて居《ゐ》れば沢山《たくさん》だよ。
貴僧《あなた》ずん/\入《い》らつしやいましな、何《ど》うもしはしません。恁云《かうい》ふ処《ところ》ですからあんなものまで人懐《ひとなつか》うございます、厭《いや》ぢやないかね、お前達《まへだち》と友達《ともだち》を見《み》たやうで可愧《はづかし》い、あれ可《い》けませんよ。)
蟇《ひき》はのさ/\と又《また》草《くさ》を分《わ》けて入《はい》つた、婦人《をんな》はむかふへずいと。
(さあ此《こ》の上《うへ》へ乗《の》るんです、土《つち》が柔《やはら》かで壊《く》へますから地面《ぢめん》は歩行《ある》かれません。)
いかにも大木《たいぼく》の僵《たふ》れたのが草《くさ》がくれに其《そ》の幹《みき》をあらはして居《ゐ》る、乗《の》ると足駄穿《あしだばき》で差支《さしつか》へがない、丸木《まるき》だけれども可恐《おそろ》しく太《ふと》
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