へ》をいひ立《た》てに一|日《にち》延《の》ばしにしたのぢやが三|日《か》経《た》つと、兄《あに》を残《のこ》して、克明《こくめい》な父親《てゝおや》の股引《もゝひき》の膝《ひざ》でずつて、あとさがりに玄関《げんくわん》から土間《どま》へ、草鞋《わらぢ》を穿《は》いて又《また》地《つち》に手《て》をついて、次男坊《じなんばう》の生命《いのち》の扶《たす》かりまするやうに、ねえ/\、といふて山《やま》へ帰《かへ》つた。
其《それ》でもなか/\捗取《はかど》らず、七日《なぬか》も経《た》つたので、後《あと》に残《のこ》つて附添《つきそ》つて居《ゐ》た兄者人《あにじやひと》が丁度《ちやうど》苅入《かりいれ》で、此節《このせつ》は手《て》が八|本《ほん》も欲《ほ》しいほど忙《いそが》しい、お天気《てんき》模様《もやう》も雨《あめ》のやう、長雨《ながあめ》にでもなりますと、山畠《やまはたけ》にかけがへのない稲《いね》が腐《くさ》つては、餓死《うゑじに》でござりまする、総領《さうりやう》の私《わし》は一|番《ばん》の働手《はたらきて》、かうしては居《を》られませぬから、と辞《ことわり》をいつて、
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