《うす》らぐ、根太《ねぶと》の膿《うみ》を切《き》つて出《だ》すさへ、錆《さ》びた小刀《こがたな》で引裂《ひツさ》く医者殿《いしやどの》が腕前《うでまへ》ぢや、病人《びやうにん》は七|顛《てん》八|倒《たう》して悲鳴《ひめい》を上《あ》げるのが、娘《むすめ》が来《き》て背中《せなか》へぴつたりと胸《むね》をあてゝ肩《かた》を押《おさ》へて居《ゐ》ると、我慢《がまん》が出来《でき》る、といつたやうなわけであつたさうな。
一|時《しきり》彼《あ》の藪《やぶ》の前《まへ》にある枇杷《びは》の古木《ふるき》へ熊蜂《くまばち》が来《き》て可恐《おそろし》い大《おほき》な巣《す》をかけた。
すると、医者《いしや》の内弟子《うちでし》で薬局《やくきよく》、拭掃除《ふきさうぢ》もすれば総菜畠《さうざいばたけ》の芋《いも》も堀《ほ》る、近《ちか》い所《ところ》へは車夫《しやふ》も勤《つと》めた、下男《げなん》兼帯《けんたい》の熊蔵《くまざう》といふ、其頃《そのころ》二十四五|歳《さい》、稀塩散《きゑんさん》に単舎利別《たんしやりべつ》を混《ま》ぜたのを瓶《びん》に盗《ぬす》んで、内《うち》が吝嗇《け
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