すと、水々《みづ/\》しくなるのでございますよ。尤《もツと》も那《あ》のこれから冬《ふゆ》になりまして山《やま》が宛然《まるで》氷《こほ》つて了《しま》ひ、川《かは》も崖《がけ》も不残《のこらず》雪《ゆき》になりましても、貴僧《あなた》が行水《ぎやうずゐ》を遊《あそ》ばした彼処《あすこ》ばかりは水《みづ》が隠《かく》れません、然《さ》うしていきりが立《た》ちます。
鉄砲疵《てツぱうきづ》のございます猿《さる》だの、貴僧《あなた》、足《あし》を折《を》つた五位鷺《ごゐさぎ》、種々《いろ/\》な者《もの》が浴《ゆあ》みに参《まゐ》りますから其《そ》の足痕《あしあと》で崖《がけ》の路《みち》が出来《でき》ます位《くらゐ》、屹《きツ》と其《それ》が利《き》いたのでございませう。
那様《そんな》にございませんければ恁《か》うやつてお話《はなし》をなすつて下《くだ》さいまし、淋《さび》しくつてなりません、本当《ほんと》にお可愧《はづか》しうございますが恁麼《こんな》山《やま》の中《なか》に引籠《ひツこも》つてをりますと、ものをいふことも忘《わす》れましたやうで、心細《こゝろぼそ》いのでございま
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