離婚について
与謝野晶子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)環《たまき》女史
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#下げて、地より1字あきで]
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)陸軍軍医|正《せい》
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陸軍軍医|正《せい》の藤井氏と東京音楽学校助教授の環《たまき》女史との離婚が、新聞紙の上で趣味の相違から生じた離婚だとか、陸軍と芸術との衝突だとか大袈裟《おおげさ》に報道せられ、これについて諸先生方の御批評なども見えております。陸軍と芸術とがもし衝突致すものなら、只今《ただいま》の我国の有様ではとても筆や楽器は鉄砲に叶《かな》いませんから、素直に鉄砲に屈従して離婚|沙汰《ざた》などには立至らずに納まりそうなものでしたが、どういうものでしょうか。
また趣味の相違が原因だと決《きめ》る前に、その趣味とはどんなものか、それを質《ただ》す必要があるかと存じます。湯屋の三助《さんすけ》や床屋の小僧でも今日盛んに使う「趣味」という語《ことば》と同じ意味の趣味ならば余りありがたくもないものであるし、音楽学
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