から婦人を拒んでいることの不法を正すために、第一の必要である治安警察法第五条の撤廃と、婦人の参政権をも認容した普通選挙の要求の如き緊要な問題についても、それらの先輩婦人たちは全く冷淡に看過されています。また教育の方面でも、小中学より大学及び各種の専門学校に到るまでの男女の共学の問題の如きは、茲《ここ》にならべた諸問題と併せて、男子と平等に文化生活の構成分子たる婦人の看過してはならないものだと考えるのですが、どの婦人運動にたずさわっている婦人たちも、文化生活の基本であるこれらの問題について新しい運動を起される気振《けぶり》さえありません。私たちはそれらの先輩婦人たちが虚礼廃止とか、廃物利用とか、混食や代用食の実行とかについて、私たち婦人のために最大級の激励を払われるのを見て、時には腹立たしくさえ感じることがあります。
以上、いろいろと失礼なことを述べました。私はそれをお詫びすると共に、「婦人運動に理想あれ」という希望の言葉を以ってこの感想を結びます。(一九二〇年二月)
[#地より1字上げ](『雄弁』一九二〇年一月)
底本:「与謝野晶子評論集」岩波文庫、岩波書店
1985(昭和60)年8月16日初版発行
1994(平成6年)年6月6日10刷発行
底本の親本:「女人創造」白水社
1920(大正9)年5月初版発行
入力:Nana ohbe
校正:門田裕志
2002年5月14日作成
2003年5月18日修正
青空文庫ファイル:
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