はやがて男子の改造の基礎条件ともなるものであって、女子のために特に選ばれた賢母良妻主義とか、母性中心主義とかいうようなあやふやな生活方針ではないのです。この中でも他の四つは悉《ことごと》く一つの文化主義に向って集中し、そうして文化主義は、各個人がその個性の差別に応じ、限られたる範囲に拠って、人類全体の文化価値創造の生活に参加する意味からいえば徹底個人主義であり、人格主義であり、これに由って一切の人格が偏頗なく、依怙《えこ》なく、平等に、円満に、その生を享楽し得る意味からいえば人道主義であり、十二分に現在の人間性と社会事情とを考慮しながら、未来の飛躍の可能を信じつつ合理的の改造を志す意味からいえば新理想主義であり、新浪漫主義であると思います。(一九一九年三月七日)
[#地より1字上げ](『改造』一九一九年四月)
底本:「与謝野晶子評論集」岩波文庫、岩波書店
1985(昭和60)年8月16日初版発行
1994(平成6年)年6月6日10刷発行
底本の親本:「激動の中を行く」アルス
1919(大正8)年8月初版発行
入力:Nana ohbe
校正:門田裕志
2002年5月14日作成
2003年5月18日修正
青空文庫ファイル:
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