らである。自己の内面から出て開発されることを望んでいる事柄であるからである。」
 また女子の参政権問題について言いました。「婦人の政治的権利を承認するは、両性の差別を無視するものでなくて、いやしくも婦人もまた男子と共に人間であり、人類の一員であることを認める限り、むしろ両性の差別がこの承認を要するのである。……婦人には婦人独特の利害と、欲求とがある。そうして国会においては、あらゆる方面の利害が代表されていることを要求するが故に、其処《そこ》には婦人もまた代表されていなければならない。……人は女性の政治的未熟を力説するかも知れない。なるほどこれは男性の平均程度に比べても一層甚だしいであろう。しかし、それならば人は女性の政治的教育に骨を折るが好いのである。」
 職業の問題に対する女子の要求についてリップスの言ったことは後において引用しようと思います。

 最後に私は「汎労働主義」を以て改造の基礎条件の第五とする者です。これについても私は、最近に公にした種々の感想文においてかなり多く述べていますから、茲《ここ》には只だその補充として少しばかり書いて置きます。
 私は労働階級の家に生れて、初等
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