律的に禁じられているという事が――今日ここに普通選挙を要求せずにいられない一つの最大理由ではないでしょうか。
 皆さんは納税資格に依る選挙権の制限を不法と認めておいでになります。それには何人《なんぴと》も異論がありません。しかし今日、それのみの撤廃を要求する普通選挙は不徹底です。自由と平等とを重ぜられる聡明な皆さんに私は熱望します。一挙して男女の性別に依る選挙権の制限をも撤廃して頂くことを。即ち私たち婦人の政治的権利の喪失をも回復して頂くことを。
 もし婦人参政尚早論を唱えてこれに反対する人々があるなら、納税資格者以外の一般男子を非愛国者の如くに見て普通選挙尚早論を唱える人々と、その不徹底論者たることにおいて大差はないと思います。
 「満二十五歳以上の日本人は男女の別なく一斉に選挙権を享有すること」、私の要求する普通選挙はこれです。婦人の参政権を除外した普通選挙は、政治を以て全日本人の政治たらしめようとする――愛と理性に富んだ――真の民主主義者をして満足せしめません。
 私は皆さんの徹底した御努力を、特に日本婦人の現在の立場から祈ります」(一九一九年二月)
[#地より1字上げ](『婦人
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