平塚さんと私の論争
与謝野晶子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)平塚雷鳥《ひらつからいちょう》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)今|憚《はばか》らずに

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号)
(例)益※[#二の字点、1−2−22]
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 私は女子の生活が精神的にも経済的にも独立することの理想に対して、若い婦人の中の識者から反対説が出ようとは想像しませんでした。それは、この理想の実現が人生に真の幸福を築き初める第一の基礎であることが余りに明白なことだからです。しかるに平塚雷鳥《ひらつからいちょう》さんが最近に私の主張する女子の経済的独立に抗議を寄せられたのは非常に意外の感に打たれました。
 平塚さんは、私が『婦人公論』誌上に載せた断片的な感想の中で「男子の財力をあて[#「あて」に傍点]にして結婚し、及び分娩する女子は、たといそれが恋愛関係の成立している男女の仲であっても、経済的には依頼主義を取って男子の奴隷となり、もしくは男子の労働の成果を侵害し盗用してい
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