の概算が一カ年四億円――輸出総額の二割五分――に達しているので推断することが出来ます。
女子は母たる境遇にのみあるものでないのですから、その実力と興味とに従って内外の職業に就くことは可能です。女子の職業範囲は何人《なんぴと》の反対があっても、生活過程の必要である限り益※[#二の字点、1−2−22]拡がって行くでしょう。その過程には新しい悲惨な事実も続出するでしょうが、宇宙はいつも[#「いつも」に傍点]快晴ではないのですから、一つの比較的に最も善い新しい秩序を創《はじ》めるためには十の新しい障碍《しょうがい》が起ってもやむをえません。更にその障碍を除く新しい施設を工夫さえすれば善いのです。
母の境遇にある婦人といっても、子供の側に附切《つきき》っていねばならないものでなく、殊に子供が幼稚園や小学へ行くようになれば、母の時間は余ります。子供の側を離れられない期間にある女は屋内の経済的労働に服せば宜しい。妊娠や分娩の期間には病気の場合と同じく、保険制度に由って費用を補充するというような施設が、我国にも遠からず起るでしょう。否、大多数の婦人自身の要求でその施設の起る機運を促さねばなりません
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