て一致した新思想と新主義との凡てに対する味方であると述べたのはこの意味です。そうして、カントのいわゆる「各人に属する、天賦の、唯一の権利」である自由独立の生存を危険にする限り、資本主義の排斥されねばならぬことは、今日において明白な問題ですから、これに代る正当な経済生活の新しい秩序を要求することは、無産階級にある私たちに取って一層痛切なものがあります。しかし米田庄太郎氏がいわれたように、人類は盲目的に新しい社会的秩序を贈られてはなりません。「これを受くるためには、人類は大に奮闘しなければならぬ。つまり、目的意識的に新しい社会的秩序を造るべく努力せねばならぬ」と思います。
山川さんは、私の文中に「経済的に独立する自覚と努力とさえあれば」といい、「富の分配を公平にする制度さえ人間が作れば」といったのに対して、この二句の間に矛盾のあることを指摘されましたが、私のいうのは、そういう自覚と努力とが各人自身に必要である人間が個人主義的に動き出せば、個人主義の徹底である共同責任主義へ向わずには置かず、そういう精神的にも経済的にも独立的意志の堅実な個人が集って団体生活を理想的に整頓しようとするなら、経
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