字詰め]
懲《こ》らしめて肉を打ちつつ過《あやま》ちて魂《たましひ》をさへ砕きつるかな
[#ここで字下げ終わり]
放埒《はうらつ》であつた前日の非を贖《あがな》へとばかり極端に自己を呵責《かしやく》して、身に出来るだけの禁欲を続けて来たことは誤りであつた。肉体に加へた罰から精神までも哀れに萎縮してしまつた。是れは全く予期せぬことであつたと作者は云ふ。
[#ここから2字下げ、22字詰め]
寂しさよこの頃おつる髪を見て作り笑ひもことにこそよれ
[#ここで字下げ終わり]
寂しい事実である。何がさうかと云ふと、額の方を広くばかりして抜け落ちて行く髪の毛を目に見て、滑稽だなどとも云つて人に笑つて見せて居る自分が情けなく寂しいのである。心にもなく人に笑つて見せることはあつても是れは余りであつて、自分を醜くするこのことに反省がされると云ふ歌。
[#ここから2字下げ、22字詰め]
はしたなく縁《ふち》の取れたる鏡などあらはに見ゆる我が家の秋
[#ここで字下げ終わり]
縁が無くなつて裏もはげた中身だけの醜い感じのする鏡、其れがうら寒い秋にうら寒いものの目に附き易くて自分を傷《いた》ましめることの多
前へ
次へ
全48ページ中37ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング