註釈與謝野寛全集
與謝野晶子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)脆《もろ》い

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)今|総《すべ》て

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ、20字組み]
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 全集は上下二巻になつて居る。下巻の方に初期の作が収められて居るのであるから、歴史的に云へば註釈も下巻から初めねばならぬものかも知れぬが、故人の意を尊重して私はやはり初めに編まれたものを前にする。
 炉上の雪二百八十六首は割書にもある如く大正元年から昭和五年に到る間の雑詠から成つて居る。
[#ここから2字下げ、20字詰め]
炉の上の雪と題せりこの集のはかなきことは作者先づ知る
[#ここで字下げ終わり]
 人も時時大宇宙の精神になつて物を見る時があつて、不滅の火であることを信じて居る自身の芸術なども脆《もろ》い生命の持主である人間の物であればはかないに違ひないと感じる。其れを言葉にして云へば自身だけの謙遜になる。反語でなしに作者は云はうとした動機と、齎《もた》らす結果の相違を初めから予期して居た歌である。炉の
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