選挙に対する婦人の希望
与謝野晶子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)婦人と異《ちが》い、

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)一層|頑冥《がんめい》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地より1字上げ]
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 私は少しばかり政治について所感を述べようと思います。私たち婦人は憲法の上でこそ男子と同等の権利を持った個人ですが、専ら男子に由って作られた法律の上では憲法と矛盾して、不合理にも、単に女性であるからという理由だけで私たちの生存に必要ないろいろの権利を制限されております。以前のように依頼主義と屈従主義とに甘んじていた婦人と異《ちが》い、個人としての自己の欲望の尊厳と、自己の能力の無限とを信ずる今日の婦人にあっては、次第に男女間の権利の偏頗《へんぱ》が苦痛の種となります。
 私たちは市区町村会議員の選挙権及び被選挙権すら持っておりません。私たちは自分の労力の結果を割《さ》いて公共生活のために納めている直接間接の租税がどのようにして全日本人の生活の幸福を増進するために運用されているかを知ることさ
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