かん。
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 昭和三年


  〔無題〕

障害物を越ゆる
騎馬の人の写真より、
我目は青磁の皿なる
レモンの黄に移り行き、
ふと、次の間《ま》の
鳩の時計の呼ぶに、
やがて心は
碓氷の峰の頂《いただき》
冬枯の落葉松《からまつ》に眺め入り、
浅間より浮び来る
白き雲に乗りつつ、
高く高く遊ぶ。


  〔無題〕

飛べ、けはしきを、風の空、
吹け、はげしきを、火の喇叭《らつぱ》、
摘め、かをれるを、赤い薔薇、
漕げ、逆巻《さかま》くを、千波万波、
君が愛、音楽、詩の力。
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 昭和四年


  小鳥の巣

見上げたる高き木間《このま》に
胸ひかる小鳥のつがひ、
もろともに啣《くは》へて帰る
一すぢの細き藁屑、

まめやかに、いぢらしきかな、
日のあたる南に向きて、
こもりたる青葉の蔭に、
巣を作る頬白《ほほじろ》のわざ。

春の日は若き雌《め》と雄《を》と
花の木に枝うつりして、
霜と雨、風をも凌ぎ、
歌ひけん、岡より岡へ。

初夏の小鳥のこころ
今は唯だ生むを楽み、
雛のため、高き木間に
巣を作る頬白のわざ。


  旅中

小蒸汽の艫《とも》、
ここに
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