過激派のような暴状を現出するに至りました。露西亜人の性情と境遇からはああした無茶苦茶な、間違った過程を取らねばならなかったのかも知れませんが、それに由って世界の人間は反対な教訓を受取り、どの国民も決してあの暴状を摸《ま》ねようとは考えないのですから、露西亜人は世界人類のために前車の覆轍《ふくてつ》を示したことになります。また露西亜人とても何時《いつ》まで今日のような無紀律な状態が続けられるものでもありません。きっとこの颶風《ぐふう》が過ぎたら、その善良な平和の目的を温健に貫徹するための手腕ある代表者が現れて、世界の期待を空しくしないでしょう。
翻って我々日本人の現状を見ると、露西亜の過激派のような常規を逸した狂的平和主義者の現れそうな国柄でないのは結構であるとして、その代りに、この世界思潮の急激な転機に対して弾力ある積極的な反応を示す所が殆ど見当りません。人々は戦争以前に比べて何らの旺盛な生活欲も加えず、何らの向上的な生活理想も建てず、何らの進歩した実際生活も開展している様子はないようです。社会の儀表たるべき人々が多数は見苦しい利己主義に専心し、その少数の尊敬に値する人々にしても纔《
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