姑と嫁に就て(再び)
與謝野晶子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)健《すこ》やかにして
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本誌の此號に「與謝野晶子氏に呈す」と云ふ一文が載つて居ります。それは前號の本誌で私が某工學士と云つた中根氏が私に寄せられた私信ですが、私の所感の中にある事實の相違を訂正するのに最も便宜だと思ひますから特に本誌に載せることにしました。私のあの文章を書いた眞意が某學士の家に起つた不祥事を批評するのが主でなくて、其事件を新聞紙上で知つて偶ま私が平生日本の姑と嫁とに就て考へて居る所を述べる機會を得たのであつたことは、中根氏も本誌の讀者も認められることであらうと思ひます、併し私の文章の中に、私が不精確な新聞記事と、更に其記事を讀んで十數日を經た後の朧氣な記憶とに由つて書いたことが、中根氏の指摘されたやうに幾個所も事實の細個條と相違して居て、わざと私が中根氏の母上を曲解し矯誣したやうな結果になつて居ることは、私の深く愧ぢる所であり、併せて幾重にもお詫び致す次第です。私はまた中根氏の私信が少しも激昂の態なく極めて温健に書かれて居るのを讀んで、私の想像して居た某工學士とは非
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