そう深い愛をお覚えになった。中くらいな背丈《せたけ》で、全体から受ける感じが清らかな人である。頬《ほお》にかかった髪、頭《かしら》つきはその中でも目だって美しい。皮膚があまりにも白いにおわしい色をした誇らかな気高《けだか》い顔の眸《め》つきはきわめて貴女らしくて、何の欠点もない美人というほかはない。二十一、二であった。少女ではないから完成されぬところもなくて妍麗《けんれい》なる盛りの花と見えた。大事に育てられてきた価値は十分に受けとれた。親の愛でこれを見れば、目もくらむ美女と思われるに違いない。ただ柔らかで愛嬌《あいきょう》があって、可憐《かれん》な点は中の君のよさがお思われになる宮であった。話をされた時にする返辞《へんじ》も羞《は》じらってはいるが、またたよりない気を覚えさせもしない。確かな価値の備わった才女らしい姫君であった。きれいな若い女房が三十人ほど、童女六人が姫君付きで、そうした人の服装なども、きらきらしいものは飽くほど見ておいでになる兵部卿《ひょうぶきょう》の宮だと思い、不思議なほど目だたぬふうに作らせてあった。三条の夫人が生んだ長女を東宮へ奉った時よりも今度の婿迎えを大事
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