た侍がおおぜい付き、下僕の数もおおぜいで、不安のなさそうな旅の一行が橋を渡って来るのが見えた。田舎《いなか》風な連中であると見ながら下《お》りて、大将は山荘の内にはいり、前駆の者などがまだ門の所で騒がしくしている時に見ると、宇治橋を来た一行もこの山荘をさして来るものらしかった。随身《ずいじん》たちががやがやというのを薫《かおる》は制して、だれかとあとから来る一行を尋ねさせてみると、妙ななまり声で、
「前|常陸守《ひたちのかみ》様のお嬢様が初瀬《はせ》のお寺へお詣《まい》りになっての帰りです。行く時もここへお泊まりになったのです」
と答えたのを聞いて、薫はそれであった、話に聞いた人であったと思い出して、従者たちは見えない所へ隠すようにして入れ、
「早くお車を入れなさい。もう一人ここへ客に来ている人はありますが、心安い方で隠れたお座敷のほうにおられますから」
とあとの人々へ言わせた。薫の供の人々も皆|狩衣《かりぎぬ》姿などで目にたたぬようにはしているが、やはり貴族に使われている人と見えるのか、はばかって皆馬などを後ろへ退《すさ》らせてかしこまっていた。
車は入れて廊の西の端へ着けた。
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