などはましてだれもお許しにならないのをかってに拾ったにすぎない」
こんなことを言った。夫人の宮はそのとおりであったことがお恥ずかしくて返辞をあそばすこともできなかった。
三日目の夜は大蔵卿《おおくらきょう》を初めとして、女二の宮の後見に帝のあてておいでになる人々、宮付きの役人に仰せがあって、右大将の前駆の人たち、随身、車役、舎人《とねり》にまで纏頭《てんとう》を賜わった。普通の家の新郎の扱い方に少しも変わらないのであった。それからのちは忍び忍びに藤壺へ薫は通って行った。心の中では昔のこと、昔にゆかりのある人のことばかりが思われて、昼はひねもす物思いに暮らして、夜になるとわが意志でもなく女二の宮をお訪ねに行くのも、そうした習慣のなかった人であるからおっくうで苦しく思われる薫は、御所から自邸へ宮をお迎えしようと考えついた。そのことを尼宮はうれしく思召《おぼしめ》して、御自身のお住居《すまい》になっている寝殿を全部新婦の宮へ譲ろうと仰せになったのであるが、それはもったいないことであると薫は言って、自身の念誦《ねんず》講堂との間に廊を造らせていた。西側の座敷のほうへ宮をお迎えするつもりらし
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