皆順当に官位も上りつつあったが、もうその時代は過ぎ去ってしまった。三位《さんみ》中将などもこうした世の中に気をめいらせていた。太政大臣の四女の所へ途絶えがちに通いは通っているが、誠意のない婿であるということに反感を持たれていて、思い知れというように今度の除目にはこの人も現官のままで置かれた。この人はそんなことは眼中に置いていなかった。源氏の君さえも不遇の歎《なげ》きがある時代であるのだから、まして自分などはこう取り扱わるべきであるとあきらめていて、始終源氏の所へ来て、学問も遊び事もいっしょにしていた。青年時代の二人の間に強い競争心のあったことを思い出して、今でも遊び事の時などに、一方のすることをそれ以上に出ようとして一方が力を入れるというようなことがままあった。春秋の読経《どきょう》の会以外にもいろいろと宗教に関した会を開いたり、現代にいれられないでいる博士《はかせ》や学者を集めて詩を作ったり、韻《いん》ふたぎをしたりして、官吏の職務を閑却した生活をこの二人がしているという点で、これを問題にしようとしている人もあるようである。
夏の雨がいつやむともなく降ってだれもつれづれを感じるころ
前へ
次へ
全66ページ中56ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング