教育の民主主義化を要求す
与謝野晶子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)伴食大臣《ばんしょくだいじん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地より1字上げ]
−−

 現在の文部大臣中橋氏はこれまでの伴食大臣《ばんしょくだいじん》とちがって、教育界の現状を憂慮する誠実と、それを改造する意志とを多分に持っておられるように見え、そのうえ、改造を断行する実力をも兼備されているように思われます。私は中橋氏を信頼して、ここに私が平素から希望している教育改造の一端を御参考までに述べたいと思います。
 第一には、教育が国民から孤立していることを改めて頂きたいのです。明治の初年このかた何事も官僚に由って切り盛りされねばならぬ未開時代にあったのですから、教育もまた官僚化したことはやむをえない歴史的過程であったでしょうが、今はもう教育の民主主義化を実現しなければならぬ時機に達していると思います。
 現在の教育は文部大臣と、それに属する官僚的教育者とに由って支配されている教育です。臨時教育会議というような文部大臣の諮詢《しじゅん》機関が出来て、官民
次へ
全10ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
与謝野 晶子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング