性質を持つて生れた四郎を、私はどうかするともう十三歳《じうさん》に迄してあると云ふやうな誤つた安心を持つて見て居なかつたでせうか。四郎が二歳《ふたつ》であることを思ふと私は死なれない、死にともない。
 雑記帳は唯《た》だこればかしでもう白い処《ところ》がなくなりました。後《あと》を書いて置くかどうか、よく解りません。[#地付きで](完)



底本:「読売新聞」読売新聞社
   1914(大正3)年10月11日〜23日(全10回連載)
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。(旧字を新字にあらためましたが、旧仮名づかいには変更を加えませんでした。総ルビをパラルビにあらためました。)
※「井」は「ウイ」、「こと」の変体仮名は「こと」、二の字点は「ヽ」にそれぞれ書き換えました。(一般には、片仮名用の繰り返し記号として用いられる「ヽ」が、底本では平仮名のルビにも使用されていることを踏まえ、二の字点の代替には「ヽ」を用いました。)
※底本は「入る」に「《はい》る」とルビを振っていましたが、「《はひ》る」としました。
※本作品中
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