た。今朝《けさ》は耶蘇降誕祭《クリスマス》の贈物《おくりもの》で光《ひかる》と茂《しげる》の二人を喜ばせて、私等二人も楽しい顔をして居たと確か初めには書いたと思つて居ます。その時のも覚書以上の物ではありませんし、唯《たヾ》今と同じやうにあなたの見て下さるのに骨の折れないやうにと雑記帳へ書くこともしたのでしたが、今よりは余程瞑想的な頭が土台になつて居ました。あなたの次《つい》で結婚をおしになる女性に就いていろ/\なことを書いてありました。数人の名を挙《あげ》て批判を下したり、私の希望を述べたりしたのでした。思へば思ふ程滑稽な瞑想者でした、私は。瞑想は下らないものとして、あなたに僭上《せんじやう》を云つたものとして、併《しか》しながらあの時にA子さんやH子さんのことをあなたの相手として考へたやうに、今も四人や五人はそんな人のあつた方《はう》が、この覚書を読んで下さる時のあなたを目に描《か》いて見る私にも幸福であるやうに思はれます。あの方《かた》よりさう云ふ人を今のあなたは持つておいでにならない、あの方《かた》は私が見たこともなし、委細《くは》しい御様子も聞いたことはありませんけれど、近年に
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